公開日: 2025-06-21著者: Yov in YovStudio
書くことへの不安、でも読むことで見えてくる道がある
プログラミングを学び始めて、「書けるようになりたいけど、何から始めればいいんだろう……?」と戸惑ったことはありませんか?
これは、誰しもが一度は感じる不安です。特に実務経験が浅いうちは、実際の開発で「ゼロからコードを書く」機会が少なく、「自分は本当にプログラミングができるようになっているのか?」と不安になることもあるでしょう。 そんなとき、「まず読むことから始めていいんだ」と思えることが、大きな支えになります。
そして実は、これまでこのシリーズで取り組んできた「読む」こと自体が、「書く」ことへの確かな準備になっています。
たとえば、第 3 章と第 4 章で体験した、コードを読んで構造を理解し、仮説を立てて手を加えてみるという一連の流れ。これは、実務でもよくある「既存のコードに対して意味を理解し、必要な変更を加える」作業とよく似ています。
こうした積み重ねこそが、やがて自分の手でコードを書けるようになるための土台になるのです。
「読む」が「書くための土台」になる理由
第 6 章では、不具合調査や機能追加など、実務で起こりがちなケースを扱いました。そこで重視されたのは、現状を丁寧に観察し、背景を想像し、筋道を立てて状況を説明する力でしたね。
読むことは、単なる情報の受け取りではなく、「観察して、想像して、構造をつかむ」訓練でもあります。 そしてその力は、「書くときに必要な判断力」と重なっています。
- どんな構造で書かれているのか?
- どんな意図でこのコードは書かれたのか?
- この変更がどこに影響するか?
こういった問いに答えられるようになると、今度は「自分ならこう書くかもしれない」と思えるようになります。読むことで「書かれ方のパターン」が見えるようになる。 その瞬間こそが、「読む」が「書く」につながる第一歩です。
AI がコードを書く。あなたは、それをどう読む?
第 1 章でもお話ししたように、最近では AI を使ってコードを書く機会が増えてきました。ChatGPT のようなツールに仕様を伝えると、ある程度のコードを出してくれる。そんな便利な時代になりました。
でも、ここで改めて「読む力」が重要になってきます。なぜなら、AI が出力したコードを本当に使えるかどうか判断するには、自分で「読める」必要があるからです。
AI の提案には間違いもあるし、冗長な実装や意図に沿っていないものも混ざります。 だからこそ、AI の出力を本当に活かすには、次のような力が欠かせません。
- 出力されたコードの意味が理解できるか
- 自分の目的に合っているか判断できるか
- 必要に応じて修正・改善できるか
こうした力を支えるのが、まさに「読む力」なのです。
AI に頼るからこそ、読める力があると安心できる。読めないと“丸投げ”、読めると“活かす”。 これからの「AI との共創」では、「読む力」がベースになります。
実践に向かうためのサイクル
こうした「読む力」の重要性や、どのように育てていくか、どんな感覚で読めばいいのかについては、第 2 章や第 5 章でも触れました。英文を読むように「流れをつかむ」感覚や、段階的に自分なりの読み方が育っていくプロセスは、多くの人にとって大切なヒントになるはずです。
読む → 試す → 考える → 聞く
これから「書けるようになる」ために意識したい学びのサイクルがあります。
- 読む(動くコード、書籍、ドキュメント)
→「どんな書き方があるのか、コードの世界の“言語”や“作法”を知る」 - 少しだけ試す(仮説を立てて手を加える)
→「手を動かして、納得感を得る」 - なぜ?と考える(変化を観察し、背景を考える)
→「仕組みや意図を読み解く力を養う」 - AI や人に聞く(問いを立て、再構成する)
→「他者の視点や説明を通して、自分の考えを整理・補強する」
このサイクルを繰り返すうちに、「書くこと」への抵抗感は少しずつ薄れ、自然と実践につながっていきます。 最初から大きなものを書こうとしなくていい。小さな修正や改善の積み重ねが、確実に力になります。
また、この学び方は一人でも、誰かとでも、AI とでもできます。自分の考えを問い直したり、相談したり、確認したりできる環境が増えてきた今、自分のペースで進んで大丈夫です。
最後に:読むことを信じて進んでいこう
私自身、最初はコードを読むこともおぼつかなくて、戸惑ってばかりでした。私の最初の実務は C 言語での開発だったのですが、初学者にとって鬼門となる「ポインタ」というものに触れ、「ポインタのポインタってなんだよ…」と四苦八苦していたものです。その次の案件では初めてオブジェクト指向に触れ、「クラス?インスタンス?何が違うの?」と概念の理解に苦戦していました。
あちこちコードを触ってみながら実験して、時にはやりすぎて壊してしまったりなんかして。そんなことを繰り返していくうちに、いつの間にか自分なりに書けるようになってきたように思います。
そして今、AI の登場によって「学び方」や「仕事の仕方」が変わっていくなかで、「読む力」はますます価値のあるスキルになってきたと感じています。
このシリーズを通して、「読むこと」に対して少しでも楽しさを感じたり、意欲がわいてきたり、自信がついたりしていたら、とても嬉しいです。そして、「読む力」がいつか「書く力」へと変わり、誰かと何かを作っていく未来につながっていったら、なお素敵です。
もしかしたら、これを読んでいる誰かと私が一緒に何かを作るなんていう巡り合わせもあるかもしれませんね。 ……そんな未来も、きっと「読むこと」から始まるのかもしれません。
どうか、読むことを信じて、一歩ずつ進んでいってください。